韓国の知性、新しい時代を語る

韓国の知性、新しい時代を語る第7回

白楽晴(『創作と批評』編集人、ソウル大学名誉教授)

 韓国の白 楽晴氏から「希望2013・勝利2012円卓会議」の宣言文と記者会見での発言が届きました。
 2012年から13年にかけては、各国の政権が選挙や政権交代期を迎え世界的に大きな変化の時代を迎えるとされます。
 この時期にむけて、韓国の市民、 知識人、各界の人々による大きな胎動を感じさせる「マニフェスト」であるとともに、国をこえて
 現代に生きる私たちすべてにとっても意義のある内容だと感じます。
 翻訳をはじめとして今回も青柳純一氏のご尽力をいただきました。

希望2013・勝利2012円卓会議

 昨年6月の統一地方選挙と今年の4.27補欠選挙は野党勢力が全般に勝利しましたが、その後も政府と与党の失政は続いており、2012年の二大選挙(4月総選挙と12月大統領選挙)に対する国民の期待はとても高まっています。

 しかし、国民の本当の願いは単なる野党の勝利や政権の交代ではありません。国民の望みは、1987年6月抗争によって民主主義の時代を切り開いたように、今こそ「2013年以後に希望の大韓民国」の未来を切り開かねばならないということです。これは、現政権の歴史的逆行を政権交代によって正すことよりはるかに根本的であり、これなしには政権交代も無意味です。

 今日私たち市民社会や宗教界の元老、および各界代表、そして市民政治運動団体の代表や中堅活動家が一堂に会し、“希望2013”というテーマで、2013年以後わが社会の望ましい姿と、2012年二大選挙勝利への模索を開始しました。

 2013年以後の新たな時代は、以前とは大きく異なるものにせねばなりません。

 開発・成長至上主義の限界を直視し、生活の質と人間を重視する国家発展モデルへの転換を図らねばなりません。福祉と性平等、生態と労働の価値が優先的に尊重され、南北がともに生きる韓(朝鮮)半島の再統合の可能性を現実化することで、民主主義とすべての人の人間らしい生活が保障される社会を創らねばならないのです。

 “2013年の希望”を現実化するには、知恵を集める過程が必要です。そして、民主と進歩を志向する勢力が力を合わせねばなりません。これは野党だけの任務ではありません。2013年の大きな夢に共感する勢力を結集し、政治圏を積極的に突き動かさねばなりません。今日はその作業の第一歩を踏み出す日です。

 進歩・改革の価値に共感する政治勢力なら、何よりもこうした2013年の大きな夢を共有せねばなりません。そうしてこそ、2012年の選挙を現与党と進歩・改革政党間の一対一の構図に対応できる方案にも自然に合意が成立し、国民に希望を与えることができるのです。その経路や方法については、今すぐに一致する必要はありませんが、そうした意見の違いから“2013年の希望”を具体化していく意思疎通と協同作業を怠るのは、国民の期待を裏切るものです。緊密に会合をもちながら、価値観や政策に関して共感できる幅を広げる作業を、今すぐに始めねばなりません。また、現政権の一方的な国政運営に対抗する共同対応にも真剣みをもって取組まねばならず、各自の徹底した自己革新を遂行しながら、統合と連帯の論議にも積極的に取組まねばなりません。

 現実はまだそうなっていません。市民社会を構成する私たちだけでも集まって“希望2013・勝利2012”を話し合い、国民の共感を得ながら政治圏に壮大な政治を促すのも、そのためです。今日の円卓会議の参加者は、今後2013年以後の新たな民主共和国のビジョンと価値、政策を実現するために、2012年に勝利する方案について、国民とともに民主・進歩勢力が論議し、模索し、準備するのを助けるために、最善を尽くそうと思います。また、政治圏とも希望を共有するための意思疎通を推進しながら、必要に応じて政治家と一堂に会して知恵を分かちあうことにも積極的に取組む所存です。

2011年7月27日   円卓会議参加者一同

<市民社会、宗教界元老および各界代表>

金祥根(6・15南側委員会・常任代表)、金潤洙(現代美術館・元館長)、文在寅(ノムヒョン財団・理事長)、朴在承(大韓弁護士協会・元会長)、白楽晴(ソウル大名誉教授)、呉宗烈(進歩連帯・常任顧問)、ユン・ジュナ(6月民主フォーラム・代表)、李金賢淑(平和をつくる女性会・元共同代表)、李善宗(円佛教中央衆徒訓練院・院長)、李昌馥(民主統合市民行動・常任代表)、李海チャン(元国務総理)、任在慶(民主言論市民連合・常任顧問)、青和(実践僧伽会・元常任議長)、咸世雄(民主化運動記念事業会・元理事長)  以上14人


<市民政治運動団体の代表>         

南尹仁順(私が夢見る国・共同準備委員長)、文成根(国民の命令・代表)、朴錫運(進歩連帯・共同議長)、白承憲(希望と対案・共同運営委員長)、李学永(進歩統合市民会議・常任代表)、イ・ヒョンナム(民主統合市民行動・常任執行委員長)、黄寅成(市民主権・共同代表)  以上7人



“希望2013・勝利2012円卓会議”の記者会見での挨拶

 お忙しい中、“希望2013・勝利2012円卓会議”の取材のために集まられた報道陣の皆さんに、まず感謝申し上げます。あわせて、本日の会議に出席してくださった市民社会の先輩、同僚の皆さん方にも感謝申し上げます。

 本日の会議の意味と内容に関しては別添の文章(上掲)を準備しており、咸世雄神父がこの後で朗読してくださいます。このご挨拶の機会を利用して、もしかして多くの方々が疑っておられるかもしれない点について、多少の説明を添えたいと思います。すなわち、「国民の大多数の関心が2012年の選挙に注がれているのに、どうして2013年を先に掲げるのか」という疑問です。

 2012年の二大選挙は、もちろん重要です。改革・進歩勢力が選挙に負けでもしたら、2013年以後の韓国が新しい時代を切り開く道はありません。だが実際、ある新しい世の中をつくろうと、自らどんな準備をしているかを国民に示して人々の感動を得られないならば、選挙の勝利すら難しいのです。また、万が一李明博時代に対する反発心理のおかげで政権を交代できたとしても、もう一つの乱脈振りを演出するだけなのです。

 その上国民は、2012年の選挙勝利のために野党勢力がどういう経路を通じて協力するかには大した関心がありません。ただ、力を合わせてこそ勝つ、という常識を確固として持つようになり、力を合わせろという国民の至上命令を受けても、その経路や方式をめぐる争いが続く場合、苛立ちを深めるだけです。そのため有権者の非難と歴史の断罪を避けようとするなら、政治家と市民社会の活動家、一般市民が“希望2013”の大きな夢を共有し、各自の矮小な打算を越えていく道が唯一です。政治家にそれができないならば、市民が立ち上がり、そうするように働きかけなければなりません。

 本日の円卓会議が“希望2013”を先に掲げたのは、まさにそうした趣旨からです。いい加減に2012年に取組むのではなく、“勝利2012”のための解法を探すためにも“希望2013”が必須です。さらに、2012年まで先延ばしできない、2011年現在で山積する社会的課題を力強く、知恵深く遂行するためにも、“希望2013”の原動力が緊要なのです。本日の集まりを契機に、全国各地で多様なレベルで、様々な方式でこうした希望の原動力が発展していくことを願います。